社会学者（博士）・専門社会調査士の神原文子（かんばらふみこ）さんをお招きし、日本において女性と子どもが貧困に陥っている現状やその起因となっている政治・経済・社会的背景等について、様々なデータに基づき解説いただくとともに、そうした貧困を打開するために何が必要であるかを支援制度の構築や社会構造の見直しを含め、わかりやすくお話しいただきました。とりわけ、日本では経済・政治・社会・文化の全ての面で、子づれシングル（子どもを養育している無配偶の生活者）が排除される生きづらい社会構造を生成・維持・容認する仕組みが常に作動していることが示され、人権課題として政策的に採り上げる必要が訴えられました。そして、この仕組みをどう変えることで、子づれシングルを包摂する社会モデルが構築されるかが示されました。
　受講生からは、「女性が非正規で働くことは自己責任と思っていたが、制度によって分断されていることをはっきりと知った」「『女性活躍』というけれど、その本質や現実を知らない情況が一番だめだということがわかった」「解決策について、とても奥が深く、当人の権利意識、まわりの理解、できることをしていきたい」等の感想があり、女性と子どもの貧困が生きづらい社会を形づくっている日本の実相について深く考える機会となりました。