兵庫県立男女共同参画センター・イーブン

【9/12(木)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「女性の貧困と子どもの貧困~地域社会が担いうる役割を中心に~」を開催しました!

男女共同参画

[開催報告男女共同参画セミナー男女共同参画アドバイザー養成塾]

【9/12(木)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「女性の貧困と子どもの貧困~地域社会が担いうる役割を中心に~」を開催しました!

開催日:
令和6年9月12日(木)10:30~12:30
 このセミナーは、第28期男女共同参画アドバイザー養成塾の第13回講座を公開したものです。
 社会学者(博士)で専門社会調査士の神原文子(かんばらふみこ)さんをお招きし、男女共同参画アドバイザー養成塾公開講座/男女共同参画セミナー「女性の貧困と子どもの貧困~地域社会が担いうる役割を中心に~」を開催しました。
 この講座で、神原さんは、日本において女性と子どもが貧困に陥っている現状やその起因となっている政治・経済・社会的背景等について様々なデータをふまえて解説くださるとともに、そうした貧困の解決に必要な支援制度の構築や社会構造の見直し、地域社会に求められる役割について平易にお話しくださいました。
 公開講座は、上記のもようを YouTube Live によるオンライン講座としてライブ配信したものです。
 受講生からは、「貧困の連鎖、教育の大切さを再認識しました」「本当にこれから社会が変わっていけるか不安な部分がありますが、できることから行動したいと思います」「多様な生き方、多様な家族スタイルがあっていことに安心しました」等の感想があり、女性と子どもが生きづらい日本社会の課題解決に向けて考える有意義な時間となりました。
    <写真1 女性の貧困・子どもの貧困の実態>
     グラフが示すのは、世帯累計別の平均年収です。全世帯というのは、例えば年金のみで生活する高齢のひとり暮らし世帯から、グラフ中に示す母子世帯など、さまざまな世帯類型すべての平均です。そこで児童のいる世帯というのは、18歳未満の子どもがいる全世帯です。父子世帯や母子世帯は、その児童がいる世帯の中の一類型ですが、このグラフからわかることは、母子世帯は児童のいる世帯の平均年収の半分以下の年収しか得られていないことです。父子世帯も児童がいる世帯の平均には及びませんが、母子世帯より多くの収入を得ていることが分かります。このように女性のひとり親世帯は経済的に非常に窮屈な暮らしを強いられていることが分かります。

    <写真2 女性の貧困化のメカニズム>
     戦前の婚姻関係は、女性が男性の家に嫁すことによって、男性の家の一部になるという隷属関係でした。戦後、憲法改正によって、夫婦同権が定められましたが、家族は一心同体であることが当然とされました。しかしながら、そうした関係はジェンダー平等なのでしょうか。夫は外で働き、妻が家庭を支えるという性別役割分業が肯定されたことにより、女性は自身で暮らしを支える経済的背景を一方的に奪われることになりました。

    <写真3 女性の分断政策と女性の貧困元年>
     1985年に国連女性差別撤廃条約を批准し、男女雇用機会均等法が施行されました。これに続いて、労働者派遣法が施行され、働く女性の中でフルタイムとパートタイム、正規雇用と非正規雇用の間の分断、さらにはそれら働く女性と家庭に留まる女性との分断を促したばかりではなく、女性の就労を不安定にしたことにより、女性の貧困のはじまりとなりました。

    <写真4 子どもの貧困を問う>
     子どもの貧困を考えるとき、衣食住の不足だけで考えてはいけません。まず、充分な医療を受けられないことがあげられ、特徴的なものとしては虫歯の多さで、子どもの医療無償化が進む現代において、ひとり親家庭では子どもに医療を受けさせる時間的余裕がないことが大きな問題となっています。ほかに、自由に使えるお金をもっていない、将来に希望が持てないことにより、社会・文化的な経験が不足しがちになります。これら子どもの貧困問題は、個々の家庭の問題ではなく、政治的な問題であると考えられます。

    <写真5 地域社会が担いうる役割とは>
     地域社会が担いうる役割は、ひとり親と子どもという世帯への理解を深め、そうした世帯の生活苦を個人の問題にしないことであり、周囲の助力によって支えていくことです。
     一言でいうと、エンパワーメントであるといえるでしょう。

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