兵庫県立男女共同参画センター・イーブン

【9/15(木)】イーブン30周年・第26期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「ジェンダー平等と法律~選択的夫婦別姓やパートナーシップ制度等の法整備の現状と課題~」を開催しました!

男女共同参画

[開催報告男女共同参画セミナー男女共同参画アドバイザー養成塾終了セミナー]

【9/15(木)】イーブン30周年・第26期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「ジェンダー平等と法律~選択的夫婦別姓やパートナーシップ制度等の法整備の現状と課題~」を開催しました!

開催日:
9月15日(木)10:30~12:30
 このセミナーは、第26期男女共同参画アドバイザー養成塾の第14回講座を公開したものです。
 市民共同法律事務所・弁護士の吉田容子(よしだようこ)さんをお招きし、男女共同参画アドバイザー養成塾公開講座/男女共同参画セミナー「ジェンダー平等と法律~選択的夫婦別姓やパートナーシップ制度等の法整備の現状と課題~」を開催しました。
 この講座では、法律においてジェンダー差別が生じやすい3分野のうち「家族法」つまり個人や家族のあり方を規定した法制度である「戸籍制度(戸籍法)」「個人の尊重(憲法13条)・法の下の平等(同14条)・婚姻(同24条)」「夫婦同氏制度(民法750条)」に焦点をあて、家族の有り様の変遷や同性婚訴訟のポイントなどを踏まえて、選択的夫婦別姓やパートナーシップ制度の法整備の現状と課題について、わかりやすくお話しいただきました。
 公開講座は、上記のもようを YouTube Live によるオンライン講座としてライブ配信したものです。
 受講生からは、「パートナーシップ制度の理解に役立ちました」「道徳や社会秩序をまもるため、同氏制度があることが歴史背景とともにわかった」「この問題は女性の貧困、LGBTの理解、性別による役割など様々な問題がからみあっている複雑なテーマだと思いました」等の感想があり、ジェンダー不平等が行政だけでなく、立法、司法にも深くかかわっていることを理解できた意義深い講座となりました。
    <ジェンダー差別が生じやすい3分野>
     選択的夫婦別姓やパートナーシップ制度の議論は、家族のあり方の変動を考えるということになる。そこでまず、これらの法整備を議論するうえで、ジェンダー差別が生じやすいのはどの分野なのだろうと考えると、スライドのように3分野であるということがよく言われている。その中で「家族法」と「性犯罪規定」は、それらが作られた当時の広い意味での道徳(社会秩序、社会通念)を保護することを目的に作られている。そこで、この講義では「家族法」を中心に解説がされた。
    <「家族」とはどんなものと認識されているか>
     家族とは法律婚カップルとその子どもが性役割をもって構成される社会の基礎単位である。家族のありさまを最近のデータに基づいて観察すると、例えば、50歳時未婚率をもって生涯未婚率の統計としていることが表しているのは、50歳というのが多くの女性が閉経する年齢の目安であることから、この時点で未婚ということは生涯未婚であるとみなそうとしていると考えることができる。言い換えれば、世帯類型別にみて「家族」の単位である世帯が実際には男女どちらかの単身か夫婦のみで構成されている割合が多いにかかわらず、「家族」とは子どもを設けるものだと認識されていることが分かる。
    <戸籍とは何か>
     「戸籍」は国民を登録するシステムであって、その特徴は家族をワンパックで管理することである。家族を社会の基礎単位として考えることは、国・行政にとって便利なシステムである。例えば、行政からの通知(=国民年金保険料の納付通知など)を戸籍の筆頭者(=一般的に世帯主)に送付することで家族の構成員全員に通知できるなどである。個々人が国民であることを証する必要性の面から考えると、特段の合理性のあるシステムではない。
    <夫婦同氏強制の問題点は何か>
     夫婦同氏に合理性があるかどうかではなく、(婚姻の際に)夫婦同氏に例外を許さないこと=夫婦同氏でなければ婚姻届を受理しないことに合理性があるかどうかを問わなければならない。1996年法制審答申で改正すべしとされた課題のうち、別氏選択だけが法制化されていないのは何故かに注目しなければいけない。同氏強制を主張する側にとって「たかが『氏』」かもしれないが、別氏選択を主張する側にとっては「されど『氏』」であって、同氏によって享受できる利益が別氏では得られない現状を考えれば、ここに重大なジェンダー差別があることが明らかである。
    <パートナーシップ制度>
     同性婚が法的に認められていないことの代替措置=婚姻は夫婦が男女であることを前提として当事者に与えている法益を、男女ではない当事者にも補償しようという制度と捉えることができる。
     同性婚を認めることを求めた訴訟では、札幌地裁(2021.3.17)は同性婚を認めないことを憲法14条(法の下の平等)違反とし、大阪地裁(2022.6.20)は違反していないとしている。
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