兵庫県立男女共同参画センター・イーブン

【7/13(土)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「ジェンダーの心理学~『男女』の思いこみを科学する~」を開催しました!

男女共同参画

[開催報告男女共同参画セミナー男女共同参画アドバイザー養成塾]

【7/13(土)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「ジェンダーの心理学~『男女』の思いこみを科学する~」を開催しました!

開催日:
令和6年7月13日(土)13:30~15:30
 このセミナーは、第28期男女共同参画アドバイザー養成塾の第6回講座を公開したものです。
 神戸松蔭女子学院大学教授の土肥伊都子(どひいつこ)さんを講師にお招きし、ジェンダー・ステレオタイプを形成するさまざまなアンコンシャス・バイアスと、そうした偏見がどのように生じてきたのか、またどんな差別や不利益をもたらし、それら不公平や不公正にどう対処するかについて、平易にお話しいただきました。
 公開講座は、上記のもようを YouTube Live によるオンライン講座としてライブ配信したものです。
 受講者からは、「ポジティブアクションで女性管理職を3割に引き上げるという目標について、まず環境を整えるということが大事なのだという点に、今までの疑問の答えをもらった気持ちになりました」「悪気なく無意識に身についてしまっていることが自分の選択肢を狭めたり苦しめたりしていたのかもしれないなと感じました」「自分の無意識に気付くことで、意識することができるようになると感じました」等の感想が寄せられ、ジェンダー平等な社会の実現を遠ざけているアンコンシャス・バイアスとジェンダー・ステレオタイプに関する理解を一層深めることができました。
    <写真1 ジェンダーステレオタイプとは>
     日本のジェンダーギャップが永らく維持されてきた原因は、ジェンダーステレオタイプ=個人の思いこみや先入観にあると考えられます。ジェンダーステレオタイプを作り出してきたのは慣習や制度ではないかとの意見もありますが、ニワトリとタマゴではありませんが、個人の思いこみや先入観の様態がどのように決められているかを学(私は社会心理学ですが)として検証する必要があります。
    <写真2 アンコンシャス・バイアスの測定>
     この講義で取り上げるジェンダー・アンコンシャス・バイアスとは、無意識に形づくられたジェンダーステレオタイプのことを指します。そこで、このアンコンシャス・バイアスを測定するにはどうするかというと、IAT(Implicit Association Test:潜在的連合テスト)というものがあります。
     左の表記は字の色と字の意味が一致しています。一方、右の表記は一致していません。左は連合が強く、右が弱い
    といいますが、色から得られる情報と意味から得られる情報など、同時に目にする情報の二つが干渉しあい、理解するまでに時間がかかる現象のことをストループ効果といい、これを利用して、ある特定の単語=例えば「数学」や「読書」が「男女」「性別」に対する意識に関連付けられている程度を数値的に測定することができ、そのような数値をもって、アンコンシャス・バイアスを測定することができます。
     こうした解説のあと、FUMIEテストというIATの一種を個人ワークとして行い、「ケア」(家事とか介護といった無償労働を意味することば)に対して、無意識にもっている肯定感・否定感を測定してみました。
    <写真3 ジェンダーステレオタイプが引き起こす問題とその対処>
     問題点として、人生の選択肢が狭められるといったことが実際に認められます。その例として、学校教員統計の結果から、数学や理科の教員は男性が多く、国語や英語の教員は女性が多いことが有意に認められています。これは、進学、就職において、男性は理系、女性は文系といった選択がなされている結果と考えられます。
    <写真4 地域社会におけるジェンダー平等の実現方策を考える>
     従来、結婚すると配偶者控除であるとか、扶養控除の条件(130万円)とか、カップル単位の制度が作られれてきたが、これからは、夫婦は一心同体とか、結婚は当然と考えるのではなく、カップルという特定の生き方だけを優遇する制度や法律を変えていくことで、女性活躍が促され、ジェンダー平等の実現に近づくと考えられます。
     クオータ制などの、女性政治家や管理職に就く女性の割合を増やすためのポジティブ(アファーマティブ)・アクションを実行していくことで、女性の意見や考え方を社会全体に拡げていくことが必要です。
    <写真5 質疑応答>
    (1)女性活躍社会が進むと女性が自活するようになるので、非婚化が進み、子どもが産まれなくなり、少子化が進むのではないかとの質問への回答
    → 現代は、仕事を持てないようでは子どもを産めないと考えている女性の割合が高くなっているので、女性が安心して子どもを産めるように仕事をちゃんと持てる社会を先に作らないと少子化が進むのであって、そうした就業環境を整える取組によって少子化の進展を止めることができると考えます。
    (2)性差は確実にあるので、差別ではなく、区別というのは必要ではないかとの質問に対する回答
    → 性差心理学の成果は、従来思われていたより性差はないというでした。そこで得られた結論は、「性差があるのだから(男女の)役割に違いがあるのは当然」ではなくて「こんなに差がないのだから、役割に違いがあるのはおかしいんじゃないか」ということでした。 
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