兵庫県立男女共同参画センター・イーブン

【8/3(土)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「地域における女性活躍~政策・意思決定の場への女性の参画~」を開催しました!

男女共同参画

[開催報告男女共同参画セミナー男女共同参画アドバイザー養成塾]

【8/3(土)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「地域における女性活躍~政策・意思決定の場への女性の参画~」を開催しました!

開催日:
令和6年8月3日(土)13:30~15:30
 このセミナーは、第28期男女共同参画アドバイザー養成塾の第7回講座を公開したものです。
 京都女子大学学長の竹安栄子(たけやすひでこ)さんを講師にお招きし、日本のジェンダーギャップ指数の低迷理由が政治・経済界での意思決定の場における女性登用の少なさにあることをデータや実態に基づき、平易に解説いただくとともに、女性の政治参画を進めてきた世界の先進事例を踏まえて、アファーマティブアクションとしての選挙におけるクォータ制導入等具体的解決策や女性・女子教育の重要性について分かりやすくお話しいただきました。
 公開講座は、上記の模様を YouTube Live によるオンライン講座としてライブ配信したものです。
 受講者からは、「SDGs全ての目標の中で重要な貢献をするものが『5.ジェンダー平等を実現しよう』である理由がよく理解できました」「理解して終わるだけでなく、実行に移すことが大切だということ。これから意識したいです」「ジェンダー平等の実現がもたらす将来像が明らかになり刺激になりました」等の感想が寄せられ、政策・意思決定の場に女性が参画することの必要性について、深く考える機会となりました。
    <写真1 学園の設立に貢献した3人の女性>
     京都女子大学の前身である「京都女子高等専門学校」の設立に大きな貢献をした三人の女性のうち、大谷籌子(おおたにかずこ)は明治のはじめに次のように発言したことから、女性自身が力を付ける必要があるという考え方をもっていたことが伺えます。
    「男尊女卑は仏教の思想のやうに誤られてゐるが釈尊は決して男女に尊卑の差を置いてゐられない。仏陀は・・・男女平等機会均等に扱はれたことは否定し得ない事実である。男性は婦人を或いは人形視し或いは奴隷視してすべての自由を束縛して来たがこれは時代を解しない人達の誤った考へからである。然しかやうな誤った婦人観の生れるのも一面婦人自身に欠点のあることは引込主義で男性の横暴を甘受してゐることにも起因する」(1925年『婦人』)

    <写真2 働く人の年収ピラミッド>
     今年も世界経済フォーラムは、ジェンダーギャップ指数を発表し、日本が相変わらずG7で最下位であり、世界146カ国中118位とジェンダー平等後進国であることを示しましたが、低位となっている大きな理由の1つに女性管理職の割合が先進国に比べて非常に低いことが挙げられます。その結果、図のとおり、年収200万円以下若しくは無償労働(家事労働=シャドウワーク)に従事しているのは女性であり、言い換えれば、日本の労働市場は女性の非常に低賃金な労働によって支えられていることがわかります。
     これがジェンダーギャップの実態であり、ジェンダーギャップとはまさに経済問題であるといっても過言ではありません。

    <写真3 なぜクオータ制が必要が~衆議院を事例に~>
     スライドは、現職議員数の多い政党の女性議員比率が低いことを示しています。これは大政党が女性議員比率を高めれば、国政全体に占める女性議員比率が飛躍的に高まることも表していますが、そのためにはどうすればいいでしょうか。手っ取り早い方法は、当選し続けている男性の現職議員の代わりに女性議員を立候補させることですが、それらの政党が自主的にそんなことをするはずがありません。したがって、法律で選挙法を変えて、女性に一定数を割り当てる(クオータ制の導入)しかないわけです。
     世界の130国以上が、そのような認識をもって、選挙にジェンダークオータ制を取り入れています。

    <写真4 統一地方選挙結果 兵庫県>
     スライドは、昨年の統一地方選挙における兵庫県の女性議員比率を示しています。兵庫県の平均女性議員比率は28.2%ですが、県議会では女性議員比率が15.1%となっており、兵庫県政の現状に鑑みますと、女性議員が少ないことの顕われではないかと考えてしまいます。一方で市町の女性議員比率をみますと、神戸市や宝塚市のように都市化が進んでいる地域の女性議員比率が高いのは当然として、農村地域である小野市で43.8%と市議会議員の約半数が女性であったり、播磨町やその周辺で女性議員比率が高くなっていることが注目されます。こうした都市部ではない市町の女性議員比率の向上は、それを目指して活動した結果です。今日、この講義を聴いて「参考になった、よかった」で終わらせるのではなく、一人ひとりが感じたことや想いを、自分にできることからでいいので実行しておくことが大切です。

    <写真5 アファーマティブアクション(積極的是正措置)の重要性>
     この講義のはじめに、男女雇用機会均等法を例にとり、男女差別の解消に機会均等は実効性を持たないことを示してきました。そこでクオータ制などの積極的是正措置=アファーマティブアクションを実行していく必要性を示してきました。
     女子大学は男女格差を是正するためのアファーマティブアクションだと認識しており、京都女子大学では家政学や幼児・小学生教育学といった伝統的女子大学像から脱却するため、現代社会学部や法学、データサイエンス学部の新設といった取組を進め、日本のジェンダー格差是正のための担い手の育成に努めています。

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