兵庫県立男女共同参画センター・イーブン

【8/15(木)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾第8・9回講座「地域課題を解決する事業の策定~プロジェクト・サイクル・マネジメント手法を学ぶ~」を開催しました!

男女共同参画

[開催報告男女共同参画セミナー男女共同参画アドバイザー養成塾]

【8/15(木)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾第8・9回講座「地域課題を解決する事業の策定~プロジェクト・サイクル・マネジメント手法を学ぶ~」を開催しました!

開催日:
令和6年8月15日(木)10:00~16:00
 関西国際大学客員教授の斉藤容子(さいとうようこ)さんをお招きし、第28期男女共同参画アドバイザー養成塾第8・9回講座を開催しました。
 この講座は、「地域課題を解決する事業の策定~プロジェクト•サイクル•マネジメント手法を学ぶ~」と題して、男女共同参画社会づくりを進めるため地域社会の課題を見つけ出し分析力を養うとともに、その解決策となる事業計画を策定するためのスキルを学ぶ講座です。サブタイトルの「プロジェクト・サイクル・マネジメント手法」(PCM手法)は、具体的な分析方法のひとつで、外務省の外部団体である国際開発高等教育機構(FASID)が国際協力に貢献する手法として、海外援助機関のために開発したものです。この手法は計画立案までを中心とした参加型計画手法と、モニタリング・評価手法からなっています。
 この講座では、講師の指導の下、受講者は事前に3つのグループに分かれて検討・設定した中心問題にしたがって参加型計画手法の演習を行いました。なお、中心問題は第2回講座(6月20日開催)において、今年度が阪神・淡路大震災30周年にあたる年度であることから、地域防災の問題点をテーマに検討・設定したものです。
 午前中は問題を分析する手順の説明と演習、午後からは目的と手段を具体化する手法の演習、それらの分析に基づいた地域プロジェクトの選択とそのプロジェクトを達成するための具体的な事業計画(PDM:プロジェクト・デザイン・マトリクス)の立案/検討を行いました。
 受講者からは「原因-結果を考え論理的に思考する面白さや結果へと導く手法を理解でき、考え方が整理できました」「社会問題だけでなく、普段抱えるような個人の問題についても、PCMのアプローチをしてみたいと思います」「地域で話し合うとき、様々な方と今日みたいに話が進むと思うと、地域活動の本番も練習の積み重ねだなと思いました」等の感想が寄せられ、今後、それぞれの地域や職場で活動を進めていくうえで、役に立つ知識やノウハウを得られたことが伺え、収穫の大きい講座になりました。
※ 参考:一般財団法人国際開発機構 PCM手法コース
    <写真1:講座目的とPCM手法及び事前に設定した中心問題>
    まず、次の3点についての説明がなされました。
    ①本講座の目的は、PCM手法を私たちの地域課題の解決に活用することを目指した当該手法(スキル)の演習であること
    ②PCM手法は、もともと開発途上国における課題解決型プロジェクト立案を円滑に且つ合理的に行う目的で開発されたものであること
    ③本日は、第2回講座のグループワークで設定した中心問題についてPCM手法によりアプローチすること
    受講生たちが取り組んだ3つの中心問題は次のとおりです。→の元が当初設定の、先が確認・見直し・再設定したものです。
    A 正確かつ必要な情報が入ってこない → 自宅避難者に物資支援情報が入ってこない
    B 災害弱者が安全に避難できない → 乳幼児を持つ親が安全な場所に避難できない
    C 身近な情報がどこで得られるか分からない → 高齢の在宅避難者が生活維持のための情報を得られない
    <写真2: グループワークの全体像について解説>
    今年度の講義で特に留意したことは、受講生がグループワークの流れをあらかじめ理解し、作業や議論を進めていくように配慮しました。PCM手法の特徴は、問題分析で[原因-結果]を深掘りしたのカード=問題を否定的に記述した表現を、目的分析で肯定的に書き改めることで[目的-手段]を機械的に導き出せるというものですが、こうした流れで作業を進めることが理解できていないと、最初の問題分析で迷路に迷い込むおそれがあることから、グループワークの全体像を示すことにしました。写真はPCM手法の問題分析と目的分析の関係を示しています。
    <写真3: Cグループによる問題分析のまとめ>
    Cグループでは中心問題を、当初「身近な情報がどこで得られるか分からない」と設定していましたが、「身近な情報」とは、どんな人の何のための情報なのかが具体的に検討・表現できていなかったことから、問題分析を進めるにあたって、グループのメンバー個々がイメージする「誰」「何」の摺り合わせに苦労しました。このあとの目的分析に進むには不十分な分析となりましたが、問題の具体化やメンバーの問題意識の整理が課題解決に不可欠であることを学びました。
    <写真4: Bグループによる目的分析のまとめ>
    Bグループでは当初、中心問題を「災害弱者が安全に避難できない」と設定していましたが、見直しの過程で「災害弱者」を「乳幼児を持つ親」と「妊婦」に設定し直し、問題分析に臨みました。その過程で「乳幼児を持つ親」と「妊婦」を両方扱うと、避難にともなう問題点が多岐にわたることから対象を「乳幼児を持つ親」に限定するとともに、「安全に避難できない」を「安全な場所に避難できない」とすることで、避難方法もより限定的に検討することにして、「乳幼児を持つ親が安全な場所に避難できない」と再設定しました。これを「乳幼児を持つ親が安全な場所に避難できる」という肯定文に書き換え中心目的を設定、分析を進めました。次いで、原因分析で書き出した「避難できない」原因の一つである「避難所まで行けない」「道路が亀裂するなどして障害物が多い」を「避難所まで行ける」「障害物が少ない別の道が分かる」と書き換えて、中心目的にいたる手段を明らかにしていきました。
    <写真5: AグループによるPDM作成のまとめ>
    Aグループは、中心問題を「自宅避難者に物資支援情報が入ってこない」に設定し問題分析を進め、中心目的を「自宅避難者に物資支援情報が入ってくる」として、この目的の達成に必要な手段を考察していきました。問題とそれを反転した目的を「情報発信源につながる」「情報を持っている人がその情報を伝えることができる」「避難所に行ける」の3つのアプローチに分類できたことから、支援物資の入手方法やそれらの所在に焦点をあて、普段からそうした防災知識を向上するための活動を組み立てるプロジェクトとして、「めざせ!防災マスター~防災力レベルアップ!!~」をプロジェクト名とする簡易PDMを完成しました。


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