兵庫県立男女共同参画センター・イーブン

【10/10(木)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「DV・性加害を予防する考え方と取組~シングル単位思考とDV加害者更生プログラム~」を開催しました!

男女共同参画

[開催報告男女共同参画セミナー男女共同参画アドバイザー養成塾]

【10/10(木)】第28期男女共同参画アドバイザー養成塾 公開講座/男女共同参画セミナー
「DV・性加害を予防する考え方と取組~シングル単位思考とDV加害者更生プログラム~」を開催しました!

開催日:
令和6年10月10日(木)10:30~12:30
 このセミナーは、第28期男女共同参画アドバイザー養成塾の第19回講座を公開したものです。
 非暴力ルーム大阪(NOVO)を運営する伊田広行(いだひろゆき)さんをお招きし、男女共同参画アドバイザー養成塾公開講座/男女共同参画セミナー「DV・性加害を予防する考え方と取組~シングル単位思考とDV加害者更生プログラム~」を開催しました。
 この講座で、伊田さんは、DV・性加害の実態と発生の背景、それらを予防する考え方であるシングル単位思考、ドゥルースモデル(パワーとコントロールの車輪)※の伊田バージョンや非暴力ルーム大阪(NOVO)の取組について、わかりやすくお話しくださいました。
 公開講座は、上記のもようを YouTube Live によるオンライン講座としてライブ配信したものです。
 受講生からは「『シングル単位思考』が世間に浸透していけば、もっと自由になれる人が増えると思いました」「DVは、安全、自信、自由、成長を奪うものだということがわかりました」「誰もが加害者にも被害者にもなり得るという点、すぐに全ての行動を変えるのは難しいですが、少しずつできることからやっていきたいです」等の感想があり、DV、性暴力等の当事者支援の実態、山積する課題と解決への取組等を考えるうえで、有意義な時間となりました。
 この講座の録画映像は、講師の指定した期間、コチラからご覧いただけます。
※ ドゥルースモデルと暴力のサイクル理論を参照
    <写真1 DVは増加しているか? 通報しよう、抱え込んではいけない>
     実態を見てみましょう。グラフはDVの相談件数の推移を示したものです。たいへんな勢いで増えているように見えますが、DVは明治・大正・昭和にも、今と同じようにありました。通報されていなかっただけです。2001年に、「DV防止法」※が制定・施行されたことにより、通報件数が急増しているわけです。同法には通報義務が規定されていますので、DVが疑われることを見聞きしたら、近くの警察署や配偶者暴力相談支援センターに通報してください。通報しなければいけない(第六条)。匿名でかまいません。警察や配暴センターは、通報を受けたときは被害の防止に努めなければならない(第八条)と規定されています。通報しましょう、抱え込んではいけない。
     本日は、早めに見つけて、加害者を教育し、DVや性加害、虐待を減らすようにしましょうという話です。
    ※ 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律 第六条、第八条に相応の努力義務が規定されている。
    <写真2 DVとは?>
     DVや児童虐待の基本構造は、強いものが弱いものを支配して、「安心・安全、自信、自由、成長」を奪うものです。人権侵害という言葉を使うより、より具体的に何が侵害されているのかを具体的に表しています。CAP(Child Assault Prevention)※を学んだ方は、すでにご存じと思いますが、誰でも「安心・安全」が脅かされると怖いでしょう。つまり、言いたいことが言えること、異なる意見がいえることが安心・安全です。DVや虐待はそうした異なる意見を言わさないことにより、被害者の自信や自由を奪い、成長を妨げるものだと言い換えることができます。

    ※ CAPプログラムとは(認定NPO法人CAPセンター・JAPAN)を参照


    <写真3 パワーとコントロールの車輪・伊田バージョン>
     この図は、ドゥルースモデル(パワーとコントロールの車輪)に伊田さんが加筆したものです。イーブン情報図書室にも所蔵している「デートDV・ストーカー対策のネクストステージ」(2015、解放出版社)※42・43ページに掲載されています。
    ※ イーブン情報図書室のOPACで、検索してみてください。


    <写真4 シングル単位思考とは?>
     シングル単位思考とは、スライドのイラストのように、男女(夫婦など)が、それぞれ自身の考えや行動を決める上で別々の自動車に乗っているような状態を表しています。2人が別々に運転する自動車は、それぞれの思いや理屈で行きやいところへ行くことができるので、同じ目的地に行こうと思えば行けば良いし、別々の場所を目指すのなら別々の道を走ることができます。対して、カップル単位とは、例えば、夫が妻の車に乗り込み、力にものを言わせて、行き先を決めつけることを指します。したがって、シングル単位思考とは対等な関係を意味し、カップル単位思考は支配関係を意味しているということができ、DVは後者の関係から生まれるため、前者のシングル単位思考を進めていくことでDVを予防することができます。
     こうした考え方は、アドラー心理学の「課題の分離」※と同様の考え方と言えます。
    ※ 「課題の分離」:個人心理学(individual psychology)における治療技法の一つで、自身が自分の責任で可決しなければならない課題と、自分には責任がなく介入することができない課題とを区別すること
    アドラ-心理学とはを参照


    <写真5 加害者にかかわる理由>
     これまで、DV被害者は、逃げるという選択しかできませんでした。けれど、逃げるだけではDVの根本的解決、つまりDVをなくすことをはできません。そこで、DVを起こしてしまう加害者を更生させ、社会全体で加害者を減らそうという取組が加害者更生プログラムです。この取組を進めていくことで、被害者を守ることにつながり、非暴力の考えを広めていこうとするものです。


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